マサチューセッツ工科大学のメディアラボ元所長で、株式会社デジタルガレージの共同創業者でもある伊藤穰一がナビゲーターを努めるポッドキャスト「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道― 」。今回は、Astar Networkのファウンダーであり、Stake TechnologiesでCEOを務める渡辺創太氏との対談が行われた。
渡辺氏の創設したAstar Networkは、日本発のパブリックブロックチェーンで、イーサリアムやビットコインなど複数のチェーンをつなげる、スマートコントラクトのHUBとしての役割を果たしている。
かつて、別々に存在していた複数の閉じたネットワークを相互につなげたことによって、インターネットは完成した。同様に異なるチェーン間を相互に連結することで、web3が完成するという未来を見据えて、日々活動を続けている。
そんな渡辺氏が、起業を決意したきっかけは、ボランティアで途上国に滞在していたときに起きた出来事だという。
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渡辺創太(以下、渡辺):インドやロシア、中国で現地のNPOで働いていたんですが、その時にさまざまな光景を目にしました。当たり前のように、裸足でパンツしかはいてない子供が「お金を頂戴」と囲んで来て、すごいショックを受けたんです。その時に、自分の人生を費やして社会問題を解決したいと思うようになりました。しかし、どうしても問題が発生している部分は、資本主義のマーケットでカバーできてない。この問題をそのままダイレクトに僕が解きにいっても、なかなかスケールしないなと思ったんです。それだったら、この資本主義の中でトップを取れば、その後の影響力だとか、できることを駆使して、市場の失敗の部分を解決した方がいいな、という風に思いました。
伊藤穰一:最初から慈善事業やソーシャルインパクトで考えてるのは、素晴らしいと思います。結構、儲かってから寄付するビルゲイツみたいな人もいれば、最初から慈善事業をメインにやってる人と分かれますよね。上手にバランスできている企業を、今のアメリカでいうとPublic Benefit Corporationとか言っているんですが、僕も両方いろいろやってきて、どうしても営利目的の会社の方が人もお金もリソースも集まるし、働く力が出てきますよね。ただ一方で、今のweb3はお金の匂いがぷんぷんするし、本当にお金儲けしか考えてないような人達が、DISCORDに入ってきて面々にWEN MOON(※いつトークンが高騰するのか?という問いかけを指すスラング)とか言ってくると、やっぱり全然雰囲気が慈善事業じゃなくなってしまう。そのあたり渡辺さんは、どう思っていますか。
渡辺:すごい難しい質問ですね。web3とかこのクリプトっていう領域が一種の金儲けだ、みたいなのを言われるのは、致し方ない部分があると客観的に見て思っています。でも、日々新しいモノを良いものを作ろうと思って開発している人たちっていうのはたくさんいるので、やっぱり中には本当に世の中のことを考えて行動している人達っていうのはすごい多いと思うんです。(中略)僕みたいなファウンダーは、実際に自分がどれだけ寄付をできるか、後は、実際にどれだけ大きい良いプロダクトを作れるか、みたいなところをこだわってやっていきたいなと思ってますね。
そして、渡辺氏の最終的な目標は、会社を清算することにあるという。その理由については、番組で詳しくお聞きいただきたい。
【JOI ITO 変革への道 – Opinion Box】
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【編集ノート】
伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちら。
https://joi.ito.com/jp/archives/2022/07/04/005803.html
■「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―」
#36 日本発のパブリックブロックチェーンAstarの渡辺創太さんが貫く「信念」とは?