マサチューセッツ工科大学のメディアラボ元所長で、株式会社デジタルガレージの共同創業者でもある伊藤穰一が、ナビゲーターを努めるポッドキャスト「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道― 」。今週は、お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんが出演した。今回の対談は、西野亮廣さんのYoutube チャンネルとのコラボ企画で実現したもの。
西野さんは8月29日、ゴミのモンスターをモチーフとしたNFTコレクション「Poubelle」をオークション形式で発売開始した。またDAOの勉強会を開いたり、自身のDAOもスタートさせている。ここ数ヶ月で、一気にweb3に舵を切った西野さんとの対談は「そもそもDAOを立ち上げた経緯」からスタートした。
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西野亮廣 (以下、西野):(今オンラインサロンを運営しているんですが、)会社を持って、僕よりもひと回り下の子たちが入ってくるようになった今、僕が死んだ場合この会社の動きが全部止まってしまうというのはちょっとそれは無責任だなと。(中略)じゃあ自分がいなくなった時のことを今のうちから考えて、その練習しようと思って、今いろんなプロジェクトから抜けているんですが、そのひとつとして「自分がいなくなった時のコミュニティーは、果たして機能するのか」というテーマでDAOをスタートさせたっていう感じですね。
伊藤穰一(以下、伊藤):アメリカの財団はその考え方に似ていて、本人が死んだ後に本人の心を続けるのが財団の役目で、役員はその人が今生きてたら何を言うだろうか考える。つまり、その人の名前が場になるんだよね。
西野:その練習をしたいなと思ったんですよ。
伊藤:じゃあ、今のサロンをちょっとずつDAO化しちゃえばいいんじゃないですか?
西野:もしかしたら最終的にそうなるのかなと思うんすけど、今一旦全部試したくて。このパターンやったら「あ、これ事故るんだ」とか。
伊藤:サロン大事だからあんまり実験したくないんじゃない?
西野:確かにちょっと守ってるのかもしれないですね。笑
ーー西野さんは、DAO発で今後毎週1体ずつNFTの新作を発表していくという。
西野:DAOにネガティブな部分は何かあるんですか。みんないい話しかしないじゃないですか。
伊藤:いっぱいあると思います。まず、やっぱりコミュニティで全部決めるのってすごく難しいし、iPhoneなんかはスティーブジョブスがいたからできて、その後アンドロイドになってからコミュニティーで広がったように、最初の独占主義からDAO化するこのプロセスを間違えると結構大変ですよね。民主主義って難しいし、大きくなりすぎるのも難しい。今、みんな短期的に人数を増やそうとして大きくしすぎちゃって、何にもできなくなっちゃうケースって結構あるからね。もうひとつは、トークンで稼ぐために入ってくる人たちがいるんです。
西野:そういう人、絶対いますよね。
伊藤:そういう人たちっていうのは、短気なんです。上場企業の社長とかと話してると、みんなも四半期でメジャーされるから、長期プランができなくなっちゃってるのね。で、DAOも同じで、みんなプレッシャーをかけると、もう「すぐやれ!すぐやれ!」となっちゃうと思うんだよね。
西野:それは、つまんないですね。
伊藤:だから僕はDAOにしてもすぐ上場しないで、もう身内だけでしかトークンもてないとか誰でも入れないとか、ちょっとクローズにした方がいいと思うんですよね。
番組では、日本の規制に関する話題や、DAO同士の連携の話などの情報も飛び交った。詳しくは番組をお聴きいただきたい。
【JOI ITO 変革への道 – Opinion Box】
番組では、リスナーからのお便りを募集しています。番組に対する意見だけではなく、伊藤穰一への質問なども受け付けます。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFT会員証をプレゼントします。
https://airtable.com/shrKKky5KwIGBoEP0
【編集ノート】
伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちら。
https://joi.ito.com/jp/archives/2022/09/10/005822.html
■「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―」
#45 キングコング西野亮廣さんと考えるDAOとNFT