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中国のデジタルツイン・スマート試験船が初航海

中国のデジタルツイン・スマート科学研究試験船「海豚1号」(資料写真)。(c)Xinhua News

中国のデジタルツイン・スマート科学研究試験船「海豚1号」(資料写真)。(c)Xinhua News

【Xinhua News】中国のデジタルツイン・スマート科学研究試験船「海豚(ドルフィン)1号」が6月30日、無事引き渡され、山東省(Shandong)煙台市(Yantai)蓬萊区から初の航海に出航した。航行中、デジタルツインのシステムテストや船舶インテリジェント設備性能検証など、多くの試験を実施する。

 ハルビン工程大学(黒竜江省)スマート科学・工程学院の研究チームが独自に設計・開発した。船全体と動力、電気、ナビゲーション、センシングなどを統合したシステムの信頼性設計を実現し、完成まで3年を要した。

 プロジェクトリーダーを務めた同大学の夏桂華(Xia Guihua)教授は「海豚1号」について、飛び抜けた「聴覚」と「視覚」を備えていると説明。同船は全長25メートル、排水量100トンで、パノラマ式128レイヤー/2カイリLiDAR(ライダー)や360度赤外線パノラマビューシステム、音声信号認識など、多くの新たな設備を搭載し、光ファイバー慣性誘導や船舶用北斗ナビゲーションなどの衛星測位システムを備え、固体化レーダーとGNSS-R波浪監視装置を統合して、2カイリ以内の水面から0.5メートルの微小な目標を正確に探知できる船舶航行状況インテリジェント認識システムを構築している。

 さまざまなシステムを連携させるため、研究チームはマルチソース情報融合技術と協調検出技術を打ち出した。これにより、全天候・全方位で航行環境の変化を3次元で再構成した情報を船舶に提供できるようになり、雨や霧、夜間などの悪条件下でも安全な航行を可能にした。

 夏氏によると「海豚1号」は船舶のデジタルツインシステムを搭載しており、船舶デジタルモデリングや仮想現実(VR)のリアルタイムでのインタラクション(相互作用)、船陸ミラーリングなどの技術を通じて、遠く離れたハルビンスマート船舶遠隔制御センターから遠隔操縦でき、無人自律運転も可能になる。デジタルツインに基づく船陸共有状態管理システムは、船のエンジンや推進システム、ナビゲーションシステムなどの状態をリアルタイムで確認できるという。

 夏氏は「中国船舶のインテリジェント・システムと設備の反復的アップグレードのための科学研究プラットフォームとテスト環境を提供できる海上移動実験室を構築したい」と語った。(記者/楊思琪)【翻訳編集】Xinhua News/AFPBB News|使用条件