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全国のEV車充電設備をインターネットで統一制御 中国

充電スタンドでEV車を充電する人(2021年5月13日撮影、資料写真)。(c)CNS:陳楚紅

充電スタンドでEV車を充電する人(2021年5月13日撮影、資料写真)。(c)CNS:陳楚紅

【東方新報】巨大パネルの上に、無数の緑色の表示灯が点滅している。絶え間なく変動するEV車の充電量、充電中の充電スタンド数、累計充電電力量などの数値をリアルタイムで表示しているのだ。

 これは国網智恵車連網技術有限公司が運営する「全国統一EV車インターネット管理サービスプラットフォーム」の制御パネルで、利用者は「e充電」アプリを通じて全国どこにいても充電サービスを受けることができる。

 ひとつのインターネットで数百万台の車がつながり、人と車と充電スタンドとインターネットが相互に連携し合い、車と電力網、車とエネルギーの融合的な発展が実現している。

 中国汽車工業協会の最新データによると、今年1月から4月まで、EV車の累計販売台数は220万台を超え、前年同期比42.8%増加、市場シェア27%にまで増加した。旺盛な充電ニーズは充電サービス企業の参入を促しているが、新たな問題も次々に表れている。一部の充電ガンと車の充電インターフェイスがかみ合わない、またかみ合っても充電ができないなどの問題もある。

 同社の技術標準マネージャーの話では、車と充電設備がマッチングした後も、充電開始から終了まで、通信プロトコルを使用してさまざまなデータの交換が必要だという。どんな出力で充電するか、どの程度まで充電するか、料金はいくらか、また充電プロセスの安全確保のために、電流、電圧、温度などをリアルタイムで監視する必要があり、これらは全て「標準」で定めた規範に則って行われるという。「充電制御標準」や通信プロトコルが不統一ならば充電することができない。

 中国では2022年までに国家標準41項、業界標準32項、国家電力網の企業標準87項が定められ、中国独特のEV車充電/切り換え技術標準の体系が整備された。これで全国のEV車充電設備の発展は、より秩序だったものになった。

 16年当時、EV車スマート管理プラットフォームに接続された充電スタンドは約1万基だったが、その後急激に数が増えた。

 これに伴い、同一時間内に充電するユーザー数がプラットフォームの設定上限を超過し、ユーザーがアプリに入れず充電スタンドを起動できないという問題が多発した。またスマート管理全体の機能にも限界があった。これらの問題解決のため、データのクラウド化処理が求められた。

 当時はまだクラウド技術やマイクロサービス分野の技術者の知識経験が不十分だったが、それでも集中的な研究開発、模擬演習を重ね、17年12月に新旧プラットフォームの切り換えに成功。クラウド化が実現し、旧1.0世代から「大規模、クラウド、物、知能、移動」を統合管理する新2.0世代に切り換わった。

 さらに同社は2022年、「人、車、充電スタンド、電力網」のデータを統合管理する、充電という基本的ニーズを満たすレベルからユーザーの総合的なニーズに智能化サービスで応える最新3.0世代のプラットフォームへの進化を実現した。連休のドライブの時、どこで充電するか、どこでごはんを食べるか、どうやって混雑を避けるか、全て把握できる安心なサービスが実現したわけだ。またこの総合インターネット管理網は、充電施設の利用効率のレベルアップに大きく貢献している。

 現在、多くのユーザーから出ているのは、居住区の充電スタンドの整備問題だ。これまで居住区に設置されていたスタンドは「バカスタンド」とやゆもされていた。充電時間も充電効率も制御できず、居住区の限られた変圧器の能力ではいくらも稼働できないものだったからだ。

 しかし居住区のスタンドが総合インターネット管理網で、統一的に設置、運営されれば、「バカスタンド」ではなくなるかもしれない。

 20年には、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)金牛区(Jinniu)の某居住区の唐(Tang)さんが、総合インターネット管理網と連結した自身の充電スタンドを設置し、同省初の「統合設置統合運営モデル」の充電スタンドのオーナーとなった。

 EV車とインターネットの相互連携は、車に電力網のピーク調整の補助機能を持たせるだけでなく、夜間のグリーン電力利用にも役立つ。

 22年8月、各地で気温が40度を超し電力に新記録的な負荷が生じた。この時、同社は充電サービス業者23社と連携し、浙江省(Zhejiang)、湖北省(Hubei)、重慶市(Chongqing)などの34万6600基を超える充電スタンドを活用して電力消費の山谷の平準化に貢献し、EV車の「電力消費の海綿効果」を十分に示した。「充電施設の利用効率を絶えず向上させ、EV車のユーザーのドライブ体験を増やし、グリーンドライブへより良いサービスを提供し、スマート交通とスマートシティー建設に協力することが、われわれの今後の重要な方向性だ」、国網智恵車連網技術有限公司プラットフォーム研究開発センターの韓慶雯(Han Qingwen)副総監は今後の抱負をこう語った。【翻訳編集】東方新報/AFPBB News|使用条件