NASA、火星滞在シミュレーション施設を公開

【AFP＝時事】米航空宇宙局（NASA）は11日、火星滞在シミュレーション用の施設を公開した。被験者が1年間滞在し、火星探査に向けた課題を探る。

　施設は、テキサス州ヒューストン（Houston）のNASAの宇宙センター内に設置された。模擬実験「健康・パフォーマンス探査研究（CHAPEA）」を3回行う予定。

　実験は今夏から始まる。公募で集められた４人の被験者の心身の健康状態を観察し、長期にわたって閉鎖環境に置かれた人間の適応力への理解を深める。

　実験を率いるグレース・ダグラス（Grace Douglas）主任研究員は、得られたデータを基に、宇宙飛行士の「リソースの使い方」についてこれまで以上に理解できるようになるだろうと語った。

　被験者は「マーズ・デューン・アルファ（Mars Dune Alpha）」と名付けられた160平方メートルの基地の中で暮らす。バスルームが2か所、葉物野菜を育てる垂直菜園、医務室、団らん室に加え、幾つかの仕事部屋が備わっている。　ランニングマシンもあり、被験者が試料やデータを収集したり、インフラを建設したりするために長距離を歩くシミュレーションを行う。地球よりも重力が小さい火星の環境を体感するため、ハーネスを着けてつり下げられる形でマシンの上を歩く。

　最初の被験者は発表されていないが、「NASAの宇宙飛行士候補の選考基準」と同じ審査が行われ、STEM（科学・技術・工学・数学）の知識が重視されるという。

「マーズ・デューン・アルファ」は3Dプリンターを使って建造された。ダグラス氏は「（3D印刷は）他の惑星や月面に滞在施設を造るための技術の一つとして検討している」と話した。【翻訳編集】 AFPBB News｜使用条件